光るコンロ

下地イサム

光るコンロ

どうでもいい話ですが、昨日我が家のガスコンロを買い替えました。(本当にどうでもいい話・笑)
1年ぐらい前に、コンロのハンドルを回しても火花が出なくなったため、自力では火がつかなくなり、チャッカマンを種火がわりに火をつけるようになっていました。お湯を沸かすだけでもコンロのハンドルを回しながらチャッカマンで「カチッ!」とやらなければなりませんでした。最初は面倒くさいなぁと思っていたのですが、徐々に慣れてきて、いつの頃からか台所に立って鍋に火をつけようとする時はもう自動的にチャッカマンに手が伸びているという現象が起きていました。しかしそれでも火がつきにくくなったため買い替えることになったのです。長年使っていたコンロに別れを告げ、代わりにやって来た新しいコンロはガラスのように光るコンロです。自分の顔がはっきりと映るぐらいピカピカなので、コンロを鏡がわりに髭ソリもできる感じです。何とボタン一つで火がつき、5段階にわたって火力が調節できます。天ぷらの油の温度を設定するとそれをキープできるし、ゆでたまごを9分にセットするとタイマー機能で9分後に火が消えるという具合です。身の丈を完全に超えた上等なガスコンロです。しかし僕の体の動きは少々混乱をきたしています。火といえば片手にハンドル、片手にチャッカマンという、沢田研二もビックリのこの一連の無意識動作がすっかり仕上がっていたものですから、突然ボタン一つで点火なんて言われても、ホントにホントに大丈夫?という感じです。頭の中にはダウンロードできても体の方にインストールできないみたいです。
ここ最近家電の寿命で買い替えが重なっていて、冷蔵庫も買い替えたばかりですが、長年慣れ親しんだドアの取っ手部分が無くなったのには驚きました!ドアの下側を掴むようにして開けるというこの動きに、今やっと体が慣れてきたところです。
家電の世界は日々進化しているのに、日々買い替えるわけではないので、その歴史に立ち会えていなかったというのは大きいですね。20年ぶりに買い替えたらいきなり未来の国に来てしまったような。
しかし徐々にその感覚も薄れ、新しいものに馴染んでいく自分がいるのです。私たちの日々の定着していた動きも、新商品によって更新されていくのです。
チャッカマンを持つ僕がいなくなってもチャッカマンのことは忘れません。
光るコンロ君いらっしゃい。コンロともよろしく!