チンチンを撫でられる!

下地イサム

チンチンを撫でられる!

いやホントすみません。
タイトルに驚かれたと思いますが、なにも卑猥な話をしようというのではありません。どちらかというとちょっと面白い話です。

これは僕が生まれ育った宮古島久松のおじーやおばーや、おじさんやおばさんたちが口にしていた言葉なのです。誰に向かってって?それは小学生から中学生ぐらいの男の子に向かってです。たとえば重たい荷物を持ち歩いているおばあちゃんをどこかの男の子が(持つのを)手伝ってあげたとします。するとそのおばあちゃんはだいたい決まってこう言いました。「あんたはおりこうだねー、今日はお母さんにチンチンを撫でられるねー」と。要するに善い事をした少年への褒め言葉として使われていました。僕も小学生の頃(特に善い事をしたという記憶もないのですが)何度となく言われて、なんてことを言うんだこのおばーは!なんて思ったりしましたが、大人になってようやくその真意がわかりました。
それは幼い子どもが、自分がやった善い事を家に帰って家族に「僕はこんな善い事をしたよ」とひけらかすことのないように(自分の善行を身内や他人に自慢する人間にならないように)本人が一番恥ずかしくなるような言葉を添えて褒めていたのです。あ、誰も教えてくれなかった(というか恥ずかしくて誰にも訊けなかった)ので、僕の勝手な解釈ですが(笑)。
多感な年頃に向かうこのぐらいの時期にそんな言葉を投げかけられた少年たちは、「母ちゃんになんか絶対に言うものか」と思ったものです。効果絶大でした(笑)。