こんな日もある

下地イサム

こんな日もある

腰に爆弾を抱えていたのかと思うほどの爆発的な腰痛を抱えながら、リハーサルスタジオに行くと、なぜか鳥に襲われてしまいました。靴下さえ自力で履けない痛みの中、やっとの事でギターケースを持ち、駐車場からゆっくりとスタジオ入り口に向かって歩いていた時でした。
入り口の上のヒサシに、ツバメぐらいの大きさの鳥が巣を作ってあるらしく、チュンチュン、チュチュチューンと凄まじい鳴き声を立てていました。どうやら雛が卵から孵化したばかりのようで、子を守ろうとする親の愛が闘争心へと形を変え、近づいてくる僕の顔面に向かって猛烈な勢いで飛んで来たのです。思わず反射的に避けてしまいました。その瞬間グキッ!!あっうっ!激痛に悶え苦しみました。
それでも鳥は容赦せずUターンして何度も襲いかかって来ます。反射神経というのは本当に恐ろしいですね。身体がもうこれ以上動けないと赤信号を出しているのに、猛スピードで向かってくるものを避けようとするです。脳とは分離した独立国家のようなものです。
あーっ!くっくっ!僕は声にならない呻き声をあげ、うずくまってしまいました。

なんとかスタジオに入り、痛みに耐えてリハをしていると、今度はギターの音が突然出なくなり、修理に持って行かなくてはならなくなりました。仕方なく知り合いのギターリペアオフィスまで車を走らせていると、大渋滞にハマり、ますます腰が痛くなりました。これはもうギターのメンテナンスが先か、自分の身体のメンテナンスが先か、明後日には愛媛に行かなくてはならないという差し迫った状況の中で、究極の選択的な迷いが生じてしまいました。そしてどちらもおろそかには出来ないという判断に至り、両方の修理を決断。機転を利かしたと言えば聞こえはいいですが、放っておいても必ずこうなったであろう必然的流れの中、ギターをリペアに出した帰りに整形外科に行き、さらにそこから骨格調整(整骨)にも行って、結果ギターは直り、我が爆弾的腰痛も、信じられないほど症状が改善して帰ってきました。スキップまでとは言いませんが、揺れながら「スキップ」を歌うことぐらいはできるまでに回復しています。
こんなアンビリーバボーな一日を何と表現しましょう?
なんて日だ!
からのー、
こんな日もあるさ!
からのー、
まあ悪くない!終わりまあまあ良ければ、だいたい良し。てきなー。

踏んだり蹴ったり、弱り目に祟り目、傷口に塩を塗る、そんな窮地から脱することができたのも、痛みに耐えて行くべきところに行き、やるべき事をやり遂げた僕の力ですね(笑)。よくやった!はは、こういう時ぐらいは自分を褒めてあげよう!
さあ…
今日ぐっすり眠れば、明日はきっといい一日になりますよ。