ゴーストライターを語る!

下地イサム

ゴーストライターを語る!

ドラマ「ゴーストライター」にハマって観ていました。

セリフがよかったぁ。

脚本ですね。

書く人が、書く人のことを書くから、深みがあるんでしょうか。

シンプルで短いセリフが、心の奥底に沁み入る感じがしました。

ゴーストに頼らざるを得なくなった側も、

ゴーストを引き受けざるを得なかった側も、

どちらにもそれぞれの苦しみと弱さと葛藤があり、

その背景もわかりやすく描かれていたと思います。

そのような状況に陥ると、もしかしたら自分もそうなってしまうかもしれない、

そう思わされながら観ていました。

んー、気持ちわかるなー。

 

って、

あ、いえいえいえ、

いませんよもちろん。

最近書けてないからねー、僕も。

って、おいおいおい。

ゴーストがいてそれかいっ!

 

失礼しました!話しを戻します。

ゴーストライターの存在が世間に明るみになり、

転落していく主人公は、書くことも止め、

多くを失った代わりに、罪の意識に苛まれる苦しみからは

少しずつ解放されていきます。

平穏な日々を送っていくかのように見えました。

しかしもともと書くことが生き甲斐だった人間。

書かない日々が徐々に苦しくなっていきます。

書けないことが苦しくて仕方がなかったのに、

書かないと決めた人生がまた苦しいのです。

世間を騙していた呵責の苦しみからは解放されても、

自分自身を偽って生きることの苦しみからは逃れられません。

そして主人公は一心不乱に、かつてないほど無我夢中で書き始めます。

「書くことが苦しいんじゃない」

「苦しいから書くのよ」

自らのゴーストライターだった川原由樹に向かって、

天才小説家、遠野リサが静かに言います。

 

そして最終回、遠野リサの最後のセリフです。

「偽りのない人生なんてどこにもない。

偽りの私も、本当の私だ。愚かで愛すべき私」

 

いいドラマでした。