僕のルーツ(つづき)

下地イサム

僕のルーツ(つづき)

「あなたはヨルダンにいました」

その女性は僕にそう言いました。

正確には、「今のヨルダンがある辺り」らしいです。

唐突な書き出しですみません。

(その状況に至るまでにはいろいろと細かい話もあるのですが

個人情報もあるのでそこは割愛します)

その女性は僕の知らない人でしたが、

この方がおっしゃるには、どうやらその時一緒にいた方らしいのです。

「戦争中で、豪の中に避難していました」

と、その女性は言いました。

あなたは守る人のために戦場にいかなければならない人でした。

そして出かけていったのです。

嘘とも本当とも取れるその話は、しかしその方が笑いもせず

もの静かに語っているためか、

僕はなぜかその「ヨルダンの辺り」を回想するかのように

聞き入ってしまいました。

僕は宮古の人間です。久松出身です。

かけ離れた現世とは何一つ比べてはいけないのかもしれません。

過酷な思い出と言えば、さとうきび畑で収穫作業をさせられた

幼少時代、父親の漁の助手として駆り出され、囲った網の中で暴れる

ロウニンアジ(プンガーラ)に体当たりで飛び込まされた少年時代

ぐらいでしょうか。

誰かの命を守るために自分の身を犠牲にして戦場に出かけていった

ことなど、記憶の片隅にもないのです。

なのに、いや、だからこそ僕は不思議な気持ちでその話を受け止め

ないわけにはいきませんでした。

真実かそうでないかは、もしかしたら全く問題ではなく、

自分についてのこのような時空を超えた話を、

まるで自分とは別世界の事として、それでも自分の事なのかと

思いながら聞く自分、そのことがとても興味を引いたのです。

 

乾燥地帯の過酷な環境から、温暖湿潤な島に生を受け、

曲がりなりにも幸せな人生を送っていることを鑑みると、

前世や現世を信じるとするなら、前の人生では少なからず

徳を積んだのかなと思わなくもないですが...やれやれ、

それを自分の胸の内に秘めて「幸せをありがとうございます」

と思える自分でいたいのですが、このようにブログで公開

までしてしまって、まるで前世に思い上がっているように

見えなくもない自分が悲しい。(前世の僕、ごめんなさい)

 

その後イースター島に渡ったということなのか!?

ということは戦場で生き残れたということなのか!?

肝心な事については闇の中です。

『ラストワルツ』という歌があります。

『No Refuge』(避難場所がない)というアルバムに入っています。

闇の真相が元になって出来た歌です(笑)。

ぜひ聴いてみて下さい。って、

すべてのオチは宣伝かーっ!(ごめんなさーい)

ヨルダン