朝の散歩路

下地イサム

朝の散歩路

一番近いイメージは石垣島の白保だった。
老後は海の近くの家に住み、海へと続く一直線の小路を毎朝歩きたい。
「朝の散歩路」、この歌を作った時は頭の中だけのイメージだったけれど、新良幸人の家の前の道を歩いた時、あ、これだ!と思った。海に近づくにつれ潮騒の音がだんだんと大きくなり、磯の香りが漂いはじめ、潮風が肌に当たりだす。今から目の前に広がる美しい海を五感に予感させる。その前兆の空気を毎日味わいたい!
海までの距離はとても大きな問題。近すぎてもいけないし、遠すぎてもダメ。絶妙な距離感は僕の足の歩幅が経験値として覚えている。ここだけはイメージ通り叶えたい。ささやかな幸せの連続。老後の夢。自分だけの楽しみ。ああ、大事にあたためていこう。
でもゆっくりでいい、本当にゆっくり近づいてほしい。老後。