大人の階段
ナウいアベックたちが都会の夜をフィーバーしていたあの頃、ディスコに通い詰めてお立ち台に上るワンレンボディコンのOLたちを眺めていたチェリーボーイたちがいた。ふるっ!
今やそのような言葉を使うこと自体非常に危うい。どん引きを招くほど終わっている感満載だ。まるで敢えて古いと思わせるために新しい言葉たちが日々生まれているかのようだ。自分でも「ふるっ!」と言っといて何だが、せめて古いものは良きものとして懐かしく振り返りたいものだ。
しかし本質は何も変わっていないね。都会の夜の街はいつも若者たちで溢れ返っているし盛り上がっている。欲望が渦巻いている。
ちょっと前の話だが、土曜日の夜、まさにこれから街のネオンが灯りはじめようとしている新宿歌舞伎町の入り口付近に、今しがた地方から出てきたと思わしき初々しい少女たち5〜6人が立っていたのを目撃した。その瞬間、何とも言えない感情がこみ上げてきた。「ああ君たち、あの危険な誘惑の人混みに入って行かないでね」と祈るような感情が。しかしそんな僕の気持ちをよそに、彼女たちは吸い寄せられるように歌舞伎町の人混みの中へと消えて行ってしまった。
ミニスカートよりまだジャージが似合う感じの、ああ少女たち!どうして自らそこに...と老婆心ながら余計なお世話のひとり言を囁いていた。
「その口が言うか?」と言われても仕方がないのだが(笑)。
デンジャラスに勝るもの、それは刺激なのか。洋の東西を問わず、時代の変遷を問わず、あまねくみんなそうやって大人の階段を上るのだね。ガラスの靴で。
『少女だったといつの日か思う時が来るのさ〜』
今宵はこの歌を口ずさもう。
それも古いけどね(笑)。
でもいいものはいいのだ。