歴史をたどった一日

下地イサム

歴史をたどった一日

東京に住んでいた20代の7年間を、前半と後半に分けるとしたら、同じ人間の人生とはおよそ思えないほど全く違う内容になる。今までの人生の中で最もハチャメチャな生活を送っていた前半と、最もハードな仕事をした後半にはっきりと分かれる。
その後半の3年半、お世話になった入間市の会社を昨日25年ぶりに訪れた。いろんなものが変わっていて時の流れを感じさせたけれど、何も変わらない人たちがそこにいた。過酷な長距離トラックの仕事と、重量とびの仕事で、僕は本当に心身ともに鍛えられた。その会社に勤めさせてもらったおかげで、僕は落ちるところまで落ちて堕落していた自分を立て直すことができた。いろんな思いが甦る。

あの頃住んでいた家はもう無くて、周りも新しい家が建っていたり、景色は変わっていたけれど、近くに広がる茶畑だけはあの頃のままだった。今も勤めている人、当時勤めていた人、たくさんの人が集まってくれて、懐かしい昔話で楽しく酒を酌み交わすことができた。25年の歳月が流れているのに、つい昨日まで一緒にいたみたいな雰囲気になって、まるで25年前からタイムスリップしてきたような気持ちになってしまった。年を取ったという以外は、みんな中身は何も変わっていなかった。
本当に時だけが過ぎたというだけで、あたたかいものはそこに揺るがずに生き続けていたのだ。それを感じることができてとても幸せな一日だった。
さぁ、また明日からがんばろう!